おまえに言いたい事がある。

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 想像以上に厳しい寒さ、耳の中を錐で突くような北風。途切れる事なく口から出て行く白い息は、残り少ない俺の温かい部分を強引に引っこ抜き千切って捨てられているみたいで勿体なく見えた。  もう頭の中は現実逃避のループでさ。なんか温かくてオモロい話ってあったっけ、えーっと、うーんっと……と、ドSな夜風をガードするべく首をすぼめながら考えたんだ。  ――肉まんとあんまん、どっち派?  この会話な、その日の部活帰りの話題だったんだ。なんやゴルァ、妙なの思い出しちゃったなってタハハ苦笑いしながら……「うおっ!?」って振り返った。  肉まんとあんまん、そこにあるやん。  コンビニで待ち合わせしてたんだ。すっかり忘れていた。レジ前のブツに何度も目を向けて、やっぱりどうしようもない現実再確認のため息をついた。  財布、無所持。  持ってきたのは脇にガッチリ挟めたノートだけ。
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