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『なんで、あんまんが? 肉まんじゃなくて?』
『肉まんは肉臭いやん。あんまんは良い匂いやん』
『俺は肉まんの方が良い香りだし』
『バーーカ。好きな女子の体臭が肉まんでもいいのか?』
『や、それは甘い体臭の方ががいい』
『だろ? それでもって温かくてフワフワでさ、あんまん2個を胸に並べてみたら、なんか拝みたくなるってゆーか、有り難くね?』
『おおーー! あんまんはオッパイだ!』
『やべ、弟で遊んでみよう』
『俺訂正、あんまん派にしとく』
『俺もあんまんモミモミ派!』
だはははは!
バカ、バカーーーーーっ!
想像力豊か過ぎるだろコイツら!
あははははははは……はは……
えっ。
ちょ、まて。
てかオッパイって甘いの?
俺は生まれてこの方付き合った彼女もいなけりゃキスの経験も無い。エロの知識は先行していても、教室の半分は女子でわんさかだとしても、手触りや香りなんてものは実際のところミステリアスで未知数だ。
あんまんはオッパイ……。
絶対ニヤけてる。俺、絶対絶対口の端が上がってるハズ。ヤバい、頭の中であんまんが2個横に並んでいる。見えるよ、見える。それは紛れもなくオッパイである。ちぇー、彼女がいる友達が今、猛烈に羨ましい。このこのこのッ、エロ野郎めッ。
「周防くーん!」
「ひゃっ!?」
お願いだからオッパイにふけっていたアホ顔を見られていませんようにと、慌てて声の主を探した。
暗い街灯をバックに逆光影絵状態の人物がしきりに右手を振っている。この距離だとスケベ顔は見られてないな、助かった。
エロ空想をしながら待っていた罪悪感からか、やっと寒さから解放される安堵感からか。学校で名前を呼ばれても誰にだってそんな対応をした事がないのに。
「よお!」
大袈裟に片手を上げて白い歯スマイル。煩悩を払拭すべく、キザったらしい爽やかアピールで返事をした。
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