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待ち合わせの人物は隣の席の『片桐美羽』。
理科の実験の時にグループで意見交換をしていたんだけど、俺が彼女のノートを間違えて持って帰ってしまっていた。しかも宿題の提出は、明日の1時間目。
『朝学校で受け取ってもアウトだもん
ウェェーン。゚(゚´Д`゚)゚。』
そう泣きメールが来て21時にコンビニで待ち合わせしたものの、焦って家を飛び出したから予定より早く着いちゃったよ俺って流れだった。
片桐美羽はちょっと変わった性格の女子で。予測不能というか、何を考えてんだお前というか、フラッと気まぐれな行動が猫というか。派手なグループにいるわけじゃないのに妙に目立って浮いていた。
急に『おっしゃーっ!』って叫んでから床拭き掃除を張り切りだすし。女子らは恥ずかしくて絶対にやらない給食のおかわりも遠慮ねえし。
突然『お相撲さんの大銀杏を結ってみたい』と自分の髪の毛をアップにして試行錯誤をしていたらチャイムが鳴り、失敗した黒柳徹子みたいな頭のまま授業を受けて皆と先生の度肝を抜かせたし。
筆箱の中には丁寧に育てている卓球ボールサイズの『消しゴムのカス玉』が不気味に鎮座していて、退屈な授業の合間などにはニンマリ顔で眺めているし。で、指先で摘まんで俺に見せびらかすし。
『ありがとう』と言わずに『ごっつあんです』って言うし。
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