2輪目 不甲斐ない憧れ

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非正規雇用のまま使い捨てにされるところだった吉井を、正規のディレクターとして拾い上げてくれたのは、順調にプロデューサーに出世した凪子だった。 今や上司と部下の関係で、いよいよ高嶺の花となった神谷凪子だが――。 吉井はまだ、あきらめてはいない。 五年前のあの日、絶好の機会を逃した不甲斐なさを未だに後悔しつつ、次に訪れるであろうチャンスは絶対に逃さないつもりだ。 凪子のそばに居続けて、ただそれを待ち続ければいいと彼は思っていた。 ・・・・・・呑気(のんき)にも。
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