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私は友人たちに追いつくために4本の脚を必死に動かした。
あぁ、足がもつれる。
「走るとあぶないよ。」
間延びした声が聞こえた。
ふと視線をそちらにやれば今日もペットに散歩されている近所のおばさんがいた。
ふわふわとした毛皮に包まれた二本足の犬はおばさんの首から延びるリードを掴みながらおばさんの歩調に合わせて散歩をしている。相も変わらず賢い犬。
ペットの犬に散歩されるのはおばさんの習慣だ。
これもいつもと変わらない日常だなと笑みをひとつ溢して「ありがとうございます。」と返事をしてその場を後にした。
「間に合った…。」
息も絶え絶え。私は一言呟いた。
ぐったりと机に突っ伏した私に笑いながら「お疲れ様ー。」と声をかけてくることを少し妬ましく思ったが、その感情をぐっと飲みこんで友人たちと談笑をした。
「一限目ってなんだっけ。」
ふと思い出したように問えば友人は一瞬目を丸くしてから
「星物(せいぶつ)だよ。」
そう答える。
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