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「ねえ、叡太郎君」
ぼくにしがみつきながら、光莉がポツリと声を出した。
「ん?」
「いいのかな? 私たち。こんなことして。まだ中学生なのに」
「え? ーーダメかな?」
ぼくが頼りない声を出したからか、光莉はクスクスと笑い始めた。
ときどき光莉はこうしてぼくに現実を突きつける。
雑木林の木々と深い闇夜に目隠しをしてもらい、空には神々しく浮かぶスーパームーン。
何ものにも邪魔されない静寂とほのかな月明かりに包まれたこの幻想的な2人だけの世界でも、光莉は現実を見失わない。
そんな光莉をぼくは憎らしく思った。
「ダメじゃないよ!」
思わず剥きになる。
すると光莉はまたクスクスと笑った。
ぼくは自分の体から少し乱暴に光莉を引き剥がした。
そして光莉の柔らかい頬を両手で挟み込んだ。
「意地悪言うヤツは、こうしてやる」
お仕置きと称し、ぼくは光莉と2度目のキスを交わした。
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