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「何考えてるかわかんなくて、怖い」
あの子は、言葉を選ばずに言い放った。誰にでも優しいと思っていたあの子は、本心では俺のことを怖がっているらしい。
『誰からも好かれなくなった君に、この拳銃を使ってほしいんだ』
この言葉が真実なのだから、あの子からも好かれているはずがない。そんなことはわかっていた。
「ありがとう。これで決心がついた」
でも、あの子の口から直接聞きたかった。そうすれば、この引き金も引きやすくなる気がしたから。拳銃を右手で握りしめると、あの子は怯えたような顔をした。
「それ……拳銃!? それで私を殺す気なの!?」
悪口を言った直後、目の前の男が銃を取り出したのだ。取り乱すのも無理はない。
『ただの拳銃じゃないんだよ』
確かに、この拳銃の利用目的は、ただの拳銃とは違う。ただの拳銃は、何かを殺すために使うが、これは誰かに愛されるために使うものだ。
しかし、結果としてこの拳銃は、何かを殺す道具なのだろう。
『他人を撃つと、撃たれた人から理由もなく愛されるんだ』
では、もし俺に撃たれたらあの子は、「俺のことが好きではないあの子」は、どこに行ってしまうのだろう。この拳銃も、結局は人間を殺すのだ。
右手を動かし、頭に拳銃を突き付けた。
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