21人が本棚に入れています
本棚に追加
その約束を望んだのは君だった。
もし私が行けなかったとしても、行って欲しいところがあるの。
君はそう言って、僕に約束することを求めてきた。でも僕はすぐには約束しなかった。行けないって何だよと、一緒に行くんだろと、少し君を怒って、約束したのはそれからだった。
その三日後だった。君が逝ったのは。そしてそのときから半年が経って、いま僕は君と約束した場所にいる。
君はこの場所のことを知っていて、あんな約束を?
君に僕は会えたのだろうか?
見上げる空に僕はそう問うように思った。けれど、答えは当然返らない。それでもなおも僕は空を見上げ、しばらくそうして、決めた。
また来よう、星を見にここに、と。
この目に映る満天の星の光のように、君を失ってからのこの半年にはなかった穏やかさを自分の心に感じながら、僕はそう思った。
-fin.-
最初のコメントを投稿しよう!