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「本当? すごい、私も一度行きたかったの、でもどんな服着てったらいいのかしら」
二人は困ってしまったが適当でいいんじゃないかという事になった。
お互いが相手に頼る二人だった。
キャバクラ嬢住友京子は怒っていた。
「何だって、このスケベ野郎、払えよ!」
歓楽街の真ん中でサラリーマン風の男に怒鳴っていた。
「やりたいだけやりやがって、ふざけんな!」
京子は男の股間を蹴った。
男はその場にうずくまった。
京子の仲間が男の財布を取り出し中身を調べた。
「これだけじゃ足りないよ、残りの分払わないと会社に知らせるよ、
おまえ、お堅い公務員だったよな」
数人の女が男を取り囲んで騒いでいた。
婦人警官がやって来て騒ぎを止めた。男は何でもないと言って足早に去って行った。
「京子、あんまり目立つ事しちゃダメだよ」
警官の内山素子が京子の肩を抱いて言った。
「だって、相当金持ってる事言ったからサ、好きな様にさせてやったら
持ってないんだもん、頭に来ちゃった」
意外にサバサバした表情だった。
こう言う事はよくあるらしい。
住友京子は高校を卒業して専門学校に行くために東京へやって来た。
しかし、学校では真剣に勉強する雰囲気ではなかった。
遊びやファッションの話題ばかりで京子も遊びに熱中した。
男友達もでき高級なブランド品を手に入れたくなった。
仲間の一人がいいアルバイトがあると紹介したのが風俗嬢だった。
京子は嫌だったが友達と同じように付き合うにはお金が必要だった。
数ヶ月もすると京子は風俗街で顔が利くようになった。
ある日、京子の働く店で客と男性従業員が喧嘩をした。京子の客だった。
警察が調べると従業員から麻薬が発見された。
この場に新米警官内山素子がいた。
同い年という事もあって二人は個人的に連絡を取り合うようになった。
「京子、もういい加減にこんな商売やめたほうがいいよ、本当に」
素子はいつも京子に言った。
「うん、わかってる、いつまでもやってられる仕事じゃないしね、
今は今後のためにお金貯めたいんだ」
素子は京子が心配だった。
彼女も警察官になる前は京子同様さんざん無茶や悪い事もやった、
そのうち恐ろしい組織や犯罪の存在を知りきっぱりと辞め警察官になった。
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