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第8章 一輪のバラとピンクのカーネーション(続き)
私は、自分の名前に反応するかにそっと顔を上げた。
しかし田村の視線は、じっと彼女が眠る墓石に向けられている。
「だから、こうやって美沙ちゃんと近づけて、改めて思うんだよ。
彼ら二人は、俺にとって友人である以上に、すごい恩人だなって」
うん。
頷いた私も、薄暮の中に沈む墓石に目を向ける。
「私も同じ」
そんな私の手を、彼の大きな手が包むようにそっと握った。
そして、自然と微笑み合った私たちは、再び墓石に目を向ける。
京子ちゃん、本当にありがとう。
そして、これからも見守っててね。
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