460人が本棚に入れています
本棚に追加
/1513ページ
「私は全く興味ないよ」
キッパリと笑顔で理沙ちゃんは返したので、私も笑顔を作り口を開いた。
「私も同じく」
「えぇ!でも初日は名前を叫んでたじゃん!本当はこっそり狙ってるんじゃ……」
興味が無いと返したのに、彼女は更に細い目を作って疑いの眼差しを私に向けてきた。
何なんですか。
好きでいて欲しいのか、いて欲しくないのか、どっちなワケ?
あぁー、面倒くさいな。
だが本音を出すと面倒だ。
「あれは私の勘違いだったから。本当に一色先生には一ミリも興味ないよ」
面倒事を作りたく無いので状況を変えるべく、眉を下げて申し訳なさそうに下手に出る。
「あ、この子はホントに興味ないから安心して!」
そこに亜由が助け船を送ってくれたお陰で、私を見る女子達の顔の強張りが緩んでいった。
「そっかそっか。ライバルは少ない方が良いからね!変な事聞いてごめんね!」
穏便に済ませるために笑顔を貼り付けながら、ホントだよ。と心の中では毒づいた。
「瑞季あっち行って話そうか」
「うん」
理沙ちゃんもこの会話には入りたくないと思ったのだろう、自然な様子でフェイドアウトの言葉を出した。
ありがとうと心の中で理沙ちゃんに御礼を言った。
そして二人で窓際へと静かに逃げた。
理沙ちゃんとは波長が合っているのか、一緒に居るのが本当に楽だ。
最初のコメントを投稿しよう!