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あともう一つの理由は、
「ホタル先生、おはよ!」
「早いね、おはよー!」
ホームルームの時間にはまだ早いが、どうやら一色先生が現れたようだ。
「おはよう」
振り返ると挨拶を返しながら笑顔をみせる一色先生を見つけた。
そう、この顔がもう一つの理由。
笑っているのに私にはどこか嘘臭く見える。
他人に興味が無さそうな雰囲気満載の張り付けたようなこの笑顔。
最近の私の笑顔にそっくりだと思う。
「西野。ちょっと来て」
突然、後ろの扉のところで女子達に囲まれている先生が、嘘臭い笑顔のまま私を呼んできた。
先生のその言葉に、周りにいた女子達の冷ややかな目が一斉にこちらに向いた。
「何でですか?」
それに気付いた私は一気に面倒臭くなってしまって冷ややかに返す。
「何でって……心当たりあるだろ?」
私の言葉に先生は少し驚いた表情になる。
「いえ、全く」
私は動じずに同じ態度で返す。
「瑞季、行った方が良いんじゃない?」
隣にいる理沙ちゃんが心配そうに小声で私に言ったが、私はあえて動かないでいた。
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