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「……分かった。俺から行くから」
諦めてくれると思ったのに。
「先生、廊下に行きましょう」
あ~……面倒臭い。
「先生、話があるなら今度からこっそり呼びだして貰えませんか?」
「何で?」
先生は私を見ながら眉を寄せて不思議そうな表情を浮かべた。
「先生、モテるでしょ?教室で呼ばれると女子達が面倒臭いから」
「……分かった」
先生は私の言葉に苦笑いで返した。
もっと自分がモテる事を自覚して行動してくれ。
とにかく話をさっさと終わらせよう。
「で、話って何ですか?」
「あぁ……この間の進路希望調査、西野だけ白紙だったから再提出」
そう言って私に見覚えのある紙を差し出した。
だが私は受け取らずに紙を見つめる。
「皆書いたんだ、凄いな」
私は紙を見ながら他人事のように呟く。
「だから西野もしっかり考えて書きなさい」
先生はまだ紙を差し出し続けている。
「考えました。でも何も思い付かないんです。それでも何か書けと言うんですか?」
先生の顔を真っ直ぐ見て答えると、私のその言葉に先生は紙を持ったまま固まってしまった。
それを見た私は溜め息をついて、先生の手から仕方なく紙を抜き取った。
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