1 二年生 -promotion school-

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「ペン、貸してもらえますか?」 先生に訊ねると先生は反応して、スーツの胸ポケットから出して私に差し出したので、そのペンを受け取った。 廊下に居て机が無いので、壁を机の代わりにして受け取った紙に文字を書き込む。 その紙に第一希望から第三希望までの欄すべてに『大学進学』と書いて先生に笑顔で返した、というより胸に突きつけた。 「これで良いですね」 先生が用紙を掴んだのを確認すると、私は踵を返して先生の顔も見ずにそのまま教室へと戻った。 私はわざと棘のある態度を取った。 先生は女子に人気があるから面倒だ。 それに私に関わってきて欲しくない。 私の事なんて、放っておいて欲しい。 ――――シャッシャッ。 今は英語の授業中。 シャッ。 私は堂々とスケッチブックに絵を描いていた。 でもノートに黒板の字を写しているようにも見えるので、皆気付いてないだろう。 あんな面倒臭い先生だし、しかも嫌いな科目だし、授業なんて真面目に聞いてらんないよ。 「西野」 夢中になって描いていると近くから声が聞こえた。 邪魔をされたことにイラッとして反射的に顔を上げると、私の目の前にいつの間にか居た一色先生と目が合った。 「今は何の時間?」 「英語ですね」 不機嫌な顔の先生に私は反抗的に笑顔で返す。
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