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「教科書を開けなさい」
ホント、面倒臭い先生だ。
チャイムが鳴ると勇馬が私の所に来た。
「何怒られてんの?」
「絵描いてただけ」
「ド初っぱなから、すげぇな」
勇馬は目を丸くして驚いている。
そして初っ端からそんな態度を取ったせいか、私には誰も寄って来ない。
きっと私を問題児だと認識したのだろう。
わざわざ自分から突き放す手間も省けて一石二鳥だったなと、机に一人で座っている今の状況に満足していた。
「西野、ちょっと居残りできる?」
その日の終礼が終わり、理沙ちゃんと帰ろうとしたら、教室で先生に引き止められた。
「瑞季、先帰るね」
「あ」
理沙ちゃんは気を遣ったのだろう、私が呼び止める前にそう言って教室から出て行ってしまった。
私は心の中で思いっきり舌打ちをする。
一色先生、朝のでめげてなかったのか。
「職員室が良いか?」
まだ教室には生徒が沢山残っている。
朝のお願いを覚えていたのか、先生は小声で話し掛けてきた。
一応、私のお願いを聞いてくれているようだ。
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