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「ちょっと待「さようなら」
私は先生の言葉も聞くことなく踵を返してさっさと職員室を出た。
これで一色先生も私が面倒臭い生徒だって分かったでしょ。
これだけすれば大抵の先生は、思春期の若者は扱いにくいことを分かっているので不用意に近寄ってこない。
――――だが、一色先生は今までの先生とは一味違った。
「おはよう、西野」
次の日の朝、一色先生は東門で待ち構えていた。
あの嘘臭い笑顔で。
この学校には門が二つある。
私達は家から向かうと東門が近い。
電車組は近い方の西門を使っている。
昨日東門から出るところを見られたのか、東に賭けたのか分からないけれど。
「……おはようございます。何ですか?」
私は笑顔を張り付けて平然と返す。
「何ですかじゃないだろ、分かってるだろ?」
先生は未だ嘘臭い笑顔。
「よく分かりませんが、職員室に行けば良いんですか?分かりました、行きます」
そう一色先生には言ったが、実は行く気は毛頭無い。
そのまま教室に行かせて頂きますね。
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