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「理沙ちゃん、自転車置きに行こ?」
「うん」
待たせていた隣にいる理沙ちゃんに声を掛けると一色先生に背を向けて自転車置き場を目指す。
「一色先生、ずっとこっち見てるよ?」
理沙ちゃんは後ろを振り返りながら戸惑った声を出している。
どうやら未だに私を疑っているのか見張っているらしい。
「放っとけば良いよ」
私は前を見たまま返した。
「さっきの二人、ニコニコ話してるのに何故か怖かったよ」
あはは……すいません。
「あれ?瑞季。職員室行くならこっちの階段の方が近いよ?」
教室へと向かう廊下、理沙ちゃんが不思議そうな顔をしながら階段前で足を止めた。
そりゃそうだ。
職員室に行くならね。
「大丈夫。行かないから」
「えっ!?」
理沙ちゃんは私の返答に目を見開いて驚いている。
「行こ?」
「わ、分かった」
笑顔の私の呼び掛けに戸惑いながらも素直に応じてくれた理沙ちゃんと教室へと向かう。
「一色先生、意外としつこい」
「一色先生のこと、そんな風にあしらうの瑞季くらいだよ」
一色先生の愚痴を溢しながら理沙ちゃんと廊下を歩く。
次の曲がり角を曲がればもうすぐ教室だ。
「西野、そっちには職員室は無いけど?」
だがその手前の曲がり角を曲がった所に、ニッコリと嫌味ったらしい笑顔に腕を組んでいる一色先生が現れた。
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