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……チッ。
心の中で舌打ち。
「荷物置いてから行こうと思ってたんです」
瞬時に心とは正反対の笑顔を作り、サラリと嘘を言ってのける。
「そうか」
嘘臭い笑顔のまま私に近付いてくる先生。
どうしたんだろうかと考えた次の瞬間、
『ガシッ』
「え」
突然先生が私の腕を掴んだ。
「行くぞ」
そしてそのまま私を強引に引っぱって歩き出した。
教室とは逆方向に。
動揺しながら振り返ると残された理沙ちゃんは困ったような顔で私に手を振っていた。
「離して下さい!」
「いやだ」
いやだって、子供かよっ!
「離した瞬間、逃げる気だろ?」
よく分かっていらっしゃる。
でも今抵抗して騒いだら目立つ。
登校時間だし、ファンの女子に知られたら面倒だ。
仕方なく先生に引き摺られながら歩いていくと、先生は階段を上りだした。
「先生、職員室そっちじゃないでしょ?何処に行くんですか?」
職員室は教室と同じフロアにあるのに、何で階段を上るわけ?
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