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「美術部の部室に行く。職員室じゃ二人きりになれないし」
えぇ!?
私は二人きりなんてなりたくないんですけど!?
「私は職員室で良いですけど!」
先生は私の叫びも意志も構うことなく、私を引っ張りながらズンズン階段を登り、廊下を歩いていく。
とりあえず誰ともすれ違っていないことに安堵していると、とある扉の前に止まり鍵を開けた。
「ここ……」
去年の文化祭で先生の絵を見つけた部屋だ。
「入って」
そう言いながら先生は扉を開けると、やっと掴まれていた腕が解放された。
中を見渡すと去年とは違い、絵は飾られてはいないが、描きかけの絵が机やイーゼルに並んでいて、絵具の香りが漂っている。
此処は美術部の部室のようだ。
「俺が顧問になるまでは部員数少なかったらしいけど、俺がついてから人が増えすぎたから空いてる教室使わせて貰ってるんだ」
ナニソレ。自慢ですか?
あ、
「先生の絵は?」
ふと思った。
これだけ絵があるのだから、新作とかまだ観た事のない先生の絵がこの部屋に置いてあるかもしれない。
「あるけど」
「観たい!」
先生の返答に更に興奮して返すと、先生はニヤリと口角を上げた。
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