1 二年生 -promotion school-

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「安いって……バイトもしてない高校生の一万円はデカイよ!?」 「そうだな、ごめんごめん。学生には大した額だよな」 先生は私に謝りながらも未だに笑っている。 あ、 何か、いつもと違う。 自然な柔らかい顔…… 「って、話すり替えられそうになった。これは西野の進路の話だから」 が、すぐに一色先生は真面目な顔に戻った。 あ。 顔、戻っちゃった。 「現実は思い通りにならないところもあるけど、第一希望が通るように俺もサポートするから。西野自身のためにも真面目に考えられない?」 先生は私を真っ直ぐに見て言った。 きっと一色先生はどんなに私が突き放しても、こうやって追っ掛けて来るんだろうな。 さっき、先生が自分の事を話してくれたからだろうか。 ここまで私の事を考えてくれているなら、私もしっかりと考えないとなって思えてきた。 「……分かりました」 「良かった」 先生は言葉を受け入れた私の顔を見てホッとしたように呟いた。 「用紙は後で渡すから」 私はその言葉に頷いた。 どうやら用紙は職員室で話す予定だったので持ってきていないらしい。
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