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「ちょっと待ってて」
突然、先生は私を放置して教室の後ろへ行き、何かを探し始めた。
何しているんだろう……。
ていうか私は、とりあえず私自身の事を考えないといけないな……。
高校進学の前、親に絵の学校に行きたいと話した事があったが猛反対された。
だからとりあえず進学したが、きっと次もまた猛反対されるだろうな……。
でも先生にもあれだけ言われちゃったし、親ともいつかは話さなきゃいけないんだよね。
はぁ。
人生って、溜め息ばっかだなぁ……
「お待たせ」
考え事をしていたらいつの間にか先生が戻って来ていた。
そしてその手には二つのキャンバス。
「あ!」
二つとも文化祭の時のあの絵だ。
「観たかったんだろ?」
「……でも私まだ進路希望書いてませんよ?」
「でもちゃんと書く気になったんだろ?だから観て良いよ」
またすっ呆けるかもしれないのに……
「ありがとうございます……」
心をむず痒くさせながら私は御礼を言うと、先生が机に置いてくれた絵を観察するように眺める。
「私、色をつける作業が苦手だから、とても綺麗な水彩のこの絵を見た瞬間ファンになったんです」
「そうか」
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