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一枚は黄色や赤色のようなあったかい色もあるのだけれど、なぜかどこか寂しい花の絵。
もう一枚は茶色に青色、緑色に、赤の抽象画。
「この絵には題名あるんですか?」
私は抽象画を眺めながら指差して訊ねる。
「つけてない」
「そっか」
絵には感情が表れる……
「やっぱりこの絵、先生に似てます」
「え?」
どことなく儚げで哀しい色が。
先生の瞳と同じ……
『キーンコーンカーンコーン』
そこにチャイムが鳴り響く。
「予鈴だ」
そう呟いた先生を見る。
「え、もう?まだ観たいのに」
「また観せてやるから教室戻るぞ」
「はい……」
またあの絵に出会えたのに残念。
「そんなに観たいなら美術部入れば?授業中に夢中になって描く程、絵好きなんだろ?」
「……部活は良いです」
「そうか」
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