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「そういやこの前、部活の帰りに偶然将人に会った」
勇馬が言った。
将人は私の一つ下の弟だ。
「そうなんだ。あの子またサッカー部に入ったからね」
将人は中学からサッカー部に入っている。
中原君と一緒だ。
「聞いた聞いた。ついでにLINE交換した」
「勇馬達、ホント仲良いよね」
よく二人は一緒にゲームをしていた。
そこにたまに私も混ぜてもらっていた。
「携帯、姉は一年買って貰えなかったのに将人は良かったな」
ずっと欲しいと親にせがんでいた携帯を、三月の初めに将人と一緒にやっと買って貰ったのだ。
「もう下が居ないしね。私だけ被害に遭ったよ……」
あの頃、携帯を持てていたら何か違ってたかもしれないのにな……。
まぁ今更、何を思っても無駄だけど。
「それよりも身長だよ。姉はドチビなのに、何で弟はあんな馬鹿デカくなったんだよ」
勇馬はお茶のペットボトルを握りしめながら悔しそうに溢す。
「ドチビとは失礼だな。でもそれ、私も聞きたいよ……」
「将人君、そんなに大きくなったんだ」
「デカいってもんじゃねーよ。見上げないと視線合わねーもん」
理沙ちゃんが意外そうに訊ねると、勇馬は更に悔しそうな表情を浮かべた。
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