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またあの季節が私達を出迎えた。
桜の花びらが、心地好い暖かい空気に乗りながら頭の上から綺麗にひらひらと舞って落ちてくる。
「いや~!春は良いね~!」
その光景を見上げて、亜由は清々しい顔を浮かべている。
「暖かいしね」
理沙ちゃんも春の陽気に穏やかそうな笑顔だ。
「また同じクラスになれたしな」
勇馬も春の心地よさに気持ち良さそう。
一年前と同じ顔ぶれ。
今日から私達は高校二年生だ。
「今日から二年生だね!後輩ができちゃうね!」
亜由は後輩が出来ることが嬉しいようで興奮した様子。
私達の学校は一年生は混合クラスだが、二年からは希望の学科に分かれるのだ。
一年生の二月に、クラス替えのため文系科、理数系科、商業科、機械科から希望をとった。
その時私は先生から薦められた事もあって、理数系クラスを選んだ。
理数系科は二クラスのみ。
実は誰も私の居た十三組から希望者は居なかった。
彼が居なくなってしまったあの日から私はクラスでは哀れみの目で見られてしまい、居心地が悪かった。
私は、私の事を知らないクラスに入りたかったから理系クラスをなんとなく選んだ。
のだが。
「って、何で今年も瑞季は暗いのよ!?新しいクラスに緊張してんの?今度は私達がいるじゃん!」
亜由が私を見ながら、何故か突然キレだした。
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