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昨日買った板ガムを開封すると口に放り込む。
中原君が好きだった板ガム。
これを噛んでいると不思議と気持ちが落ち着いてくる。
最近は精神安定剤のようになってきた。
これが販売中止になったらどうしようかな……なんて心配になるくらい噛んでいる。
「よっ。西野の新しいクラス、ココだったんか」
朝のホームルーム前、理沙ちゃんといつも通り話していると久しぶりのチャラ男が笑顔で私の前に現れた。
しかも知らないクラスに臆することなく堂々と入って。
アツヒロ君……相変わらずだな。
「お姉さん……キレイですね……」
アツヒロ君は私の隣にいる理沙ちゃんをいつの間にか見つめてうっとりしていた。
理沙ちゃんはそんなアツヒロ君に口を少し開けてポカンとしている。
ヤバイ!コイツの女好きを忘れてた!
「アツヒロ君!廊下で話そうか!」
焦った私はアツヒロ君の腕を引っ張って廊下に出た。
「西野、あの子紹介し「無理、無駄、無謀」
「まだ言い切ってないし、酷くねぇ?」
私の即答に萎れた花のようにショボくれたアツヒロ君だが、私は気にも留めずに口を開く。
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