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「で。何か用だったの?」
「別に。ただ皆元気にしてるかブラついてただけ。西野は相変わらずだな」
「まぁね。アツヒロ君はどうなの?確か文系だったよね?」
「そ。文系の四組。五組とは教室隣同士になるかなって思ってたけど俺は三階だし離れてるから会わないもんな」
どうせ機械科に進むだろうと思っていたアツヒロ君。
機械科は大きな声では言えないけれど、あまり勉強が出来ない人が進むから。
でもアツヒロ君は進学組の文系科に進んだ。
「どうせいつも寝てるんでしょ」
「一年の時よりかは起きてるぞ」
ホントかよ……。
「疑いの眼差しで見るな」
私の表情から察したようで、ムスッと憮然そうな顔で返したアツヒロ君。
「心当たりあるでしょ?」
「ホント、西野は相変わらずだな」
横の壁に凭れながらアツヒロ君はハハッと笑ってみせた。
もしかして今日、中原君の月命日だから私の様子を見に来た?
だってアツヒロ君が予鈴が鳴る前に学校に居ること事態オカしいし。
中原君の言っていた『放っとけないヤツ』の意味に彼が居なくなってから気付いた。
アツヒロ君は『放っとけないヤツ』じゃなくて『放っといてくれないヤツ』だ。
アツヒロ君は女にはだらしないけれど、結構色んな事に気がつくし、気が利く。
きっと中原君はそんな彼に何回も助けられていたのだろう。
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