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私がわざと一人で居た時、よくアツヒロ君に声を掛けられた。
アツヒロ君は不安な気持ちに敏感なのかもしれない。
「私はもうテスト助けてあげられないから、頑張んなさいよ?」
二年からは学科別にテストは違う。
だから助けようがないのだ。
と言っても、私も最近は勉強を真面目にやっていないから他人の心配してる場合じゃないんだけどね。
「ホントだな。どーしようか」
「おはよう」
突然私達の間に割り入った声。
顔を向けると一色先生が横に居た。
「おはようございます」
「はよーございます」
私達は社交辞令のように挨拶を返した。
「もうすぐ予鈴がなるから教室に戻りなさい」
もうそんな時間か。
「うぃーす。またな、西野」
そう言うとアツヒロ君は手を振りながら廊下を歩いていった。
「西野って友達居たんだな」
アツヒロ君の背中を見ていたら、隣から失礼な言葉が。
一色先生はサラリと酷いことを言う。
「友達くらい居ますよ。それより酷くないですか、その言い方」
私は憎ったらしい笑顔で返して教室に入った。
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