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「あ、あぁ、ごめん……。彼、交通事故で亡くなったの……」
私は誰とも視線を合わせることなく斜め下を向いて、なんとか口を開いた。
皆を見てはいないが、一瞬でその場の空気が凍りついてしまったのを感じる。
だって息づかいですら感じないから。
「……もしかして、去年の十二月?」
理沙ちゃんの強張った声が飛んできた。
視線を合わせないままだと、気を遣わせてしまうかな。
「そうだよ。その時、全校集会あったからね」
私は視線を皆へとあげて平静を装って返した。
勇馬が強張った表情を作っているのが視界に入る。
「瑞季と同じクラスだとは思ってたけど、まさか彼だったなんて思わなくて……ごめん……」
元気が取り柄の亜由も、気まずそうに謝りながら静かになってしまった。
「「「………………………………………」」」
この話は、やっぱりこうなっちゃうよね。
「はい!この話はもう終わり!」
私は空気を変えるために、笑顔を貼り付けて両手をパチンと合わせた。
「折角みんな同じクラスになれたんだから。楽しくいこうよ!」
ずっと黙っているつもりだったのに、初日にバレてしまうとは……。
新しいクラスでもハレモノ扱いかなぁ……。
新しいクラスの担任は朝のホームルームの時間に分かる。
担任となる人物が教室に入って来るから。
教室に着くとすぐに三人は仲の良い子がいるようで、ごめんと断りを入れて私から離れていった。
私はとりあえず黒板に書かれている指定どおり出席番号順に座った。
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