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席は後ろから二番目だ。
後ろの方で良かったな。
時計を見るとあと十分位で朝のホームルームの時間だ。
「誰になると思う?」
「科学の有田だけは勘弁~!」
皆の話題は担任の話で持ちきりのよう。
皆、期待でいっぱいだね。
なんて私は他人事のように椅子に座って耳に入ってくる周りの声を聞いていた。
『キーンコーンカーンコーン』
漸くチャイムが鳴り、クラスメイト達は各自席へと向かい始めるとざわめきの中、前の扉が開いた。
次の瞬間、背の高いスーツを着た黒髪の若い男性が視界に入る。
「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
それと同時に耳を劈くような女子の歓声が響き渡った。
うるさいな……。
女子ってどこからそんな声だしてるんだろ……と、自分も女なのに顔をしかめながら冷めたことを考える。
「はい、静かに!」
スーツの男性は苦笑いを浮かべながら女子達を鎮めるべく声を投げた。
「ホタルちゃんが担任なの!?」
「マジで!?」
「やったー!」
だが一向に鎮まらない女子達。
それどころか膨れ上がっている気がする。
歓声の中、私は頬杖をつきながら冷静に先生を観察する。
この先生、今までに見たこと無いな。
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