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この世界には2つの知能を持つ生物がいた。
日の出ている時間を生きる陽子と、日の出ていない時間を生きる月子。
この2つに大きな差など、実はない。
ただ、行動する時間帯が違うというだけだった。
陽子は6時に目が覚める。
月子は18時に目が覚める。
18時に、陽子は眠りに就き。
6時に、月子は眠りに就く。
その時間の前後5分ぐらいは起きていられるが。
それ以上はほとんど無理なのだ。
だが、それ以外に違いはない。
互いに起きていられる時間はたったの1日に最大で20分だけの世界だ。
月子は夜の街を歩く。
けれども、陽子の生活を脅かすようなことはしない。
陽子が活動できない夜の時間が、我々の仕事をする時間なのだ。
そんな中、目の前をフラフラと歩く女性を見つける。
「大丈夫か、お前。」
俺は咄嗟に声をかける。
すると、女は俺は向かって倒れてきた。
「おい、おい。」
どうやら、眠っているようだ。
全く、この状況はどうすればいいのやら。
「とりあえず、会社に事情を説明して遅れて行こう。」
俺は携帯電話を取り出し、会社に遅れる旨を伝えた。
そして、家が近かったので部屋に寝かせて、仕事に向かった。
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