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午後2時50分頃のことでありました。
ところ変わりまして、野毛中央通りに面したオフィスビルに入っている多香子の父親の職場にて…
多香子の父親は、無愛想な表情でじっと窓の外を見つめていました。
この時、窓の外に写っている空は白くてものすごく大きな雲がもくもくと上がっていたので、多香子の父親のイライラがさらに高まっていました。
そんな中でありましたが、大きめの封筒を持っている会計の男性従業員さんがものすごくもうしわけない表情で多香子の父親のもとへやって来ました。
「ああ…小松崎部長…」
「なんだ…(会計の男性従業員さん)くんか…」
「小松崎部長…ちょっとお願いがありますがよろしいでしょうか?」
「お願い…」
「2課の水尾さんの結婚祝いのカンパのお願いに来ました。」
「(不機嫌な声で)また従業員の結婚祝いなのか…」
「部長…どうかなされたのでしょうか…」
「ふたりの娘が、わしの想いに答えようとしないから怒っているのだよ!!」
「えっ?部長の娘さん…ご結婚はまだでおましたか…」
「ひとりは出戻りで、もうひとりは持ってきてくださったお見合いに文句ばかりいっているので、イラついているのだよ!!」
「そうでしたか…」
「それはそうと…2課の水尾さんは…今月いっぱいで寿(退職)だな…」
「ええ…挙式披露宴は、先方さんのご出身地の熊本で挙げられる予定です…先方さんは、結婚と同時に今の職場をおやめになられて、益城町にありますご実家へ帰られることになりました。」
「熊本へ移るのか…」
「ええ…」
「仕事はどうするのだ?」
「えっ?」
「水尾さんのダンナになる男性の仕事はどうするのだと聞いているのだ!!」
「ですから、地元の役場に再就職をすることが決まっているのですよ…」
「それだったらいい…」
「部長、どういうわけなのでしょうか?」
「どういうわけなのでしょうかって?決まっているじゃないか…転職先は収入は安定しているのか…転職先は終身雇用かと聞いているのだ!!」
「部長…それはどういうわけなのでしょうか?」
「どういうわけって…お嫁さんは専業主婦で床の間にかざってもらう方がしあわせだと言うているのだよ!!」
「部長…それはどういう意味なのでしょうか…それじゃ、夫婦共稼ぎの世帯はお嫁さんはしあわせにはなれないと言いたいのでしょうか?」
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