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「お母さん、こんなの持って来いなんてどうしたの?」
女が笑う。
葉月が微笑んだ。
「………これはね…………大切な物なの。昔、山で死んでしまった彼がくれたの。」
…………死んだ…………
オレはやっとそれを受け入れた。
「……拓真はずっと…………私を待っていてくれるのよ。」
葉月は間もなく息を引き取った。
オレは葉月の隣に横たわる。
歳を取っても彼女は美しく凛としていた。
初めて会った時と同じ。
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