2人が本棚に入れています
本棚に追加
地球なら二年前、鬼の侵略に瀕していたところを俺が救ってやったばかりじゃないか。
きっと認知症が発症したのだ。ナンマイダブナンマイダブと桃太郎は思った。
しかしそう思うと、桃太郎も人の子である。ババアを不憫に思って、階下に降りることにした。
加齢臭漂う居間にはババアとジジイがいて、テレビを見入っている。
桃太郎の気配に気づいたババアが桃太郎にテレビを見るよう促した。
すると、テレビに映っているニュースキャスターが「鬼です! 鬼が再び襲来しました!」と報じていた。確かにキャスターの奥には桃太郎が見覚えのある赤い鬼と青い鬼がこん棒を持って暴れ回っている。
ババア……認知症ではなかったか。
「桃太郎、あんたの出番だよ!」ババアが嬉しそうに声を張り上げる。
「何があんたの出番だよ。二年前にもう俺は鬼退治したろ? あんたたちに拾ってもらったお礼はあれでしたつもり。だから、次はもう知らないよ。警察が何とかしてくれるだろ」
最初のコメントを投稿しよう!