起点

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「デリカシーがないっていうか……ちょっとそのルート嫌よね」 近くにいた女子学生が、耳ざとく話に混じってきた。 「すみません、その話混ぜて頂いてよろしいですか? 男性と女性の感覚ってその辺違いますよね」 「そうそう! 簡単になんか口がすべるというかなんというか。聞いたとしてもだまっててほしいのに」 すると女子学生の隣にいた男子学生も参戦してきた。 「そんなん特に何ともなく、下ネタがらみで話すんじゃないですか。俺の彼女がこうでとか、逆になんかかわいいなって思ったり、男ってさ変に張り合ったりするし、それに、ちょっと言葉でいじめたいというかなんというか。反応を見てしまうというか」 そう言った男子学生を、亜実香が一瞥してひとつコホンと咳をする。 「それ男性目線でしょ? 女性の目線てのも考えてほしいの。言われたその子も、自分の彼氏に話したこともないことを言われたのだからびっくりしたと思うのね。親友の女の子も寝物語で何気なく口をすべらしたんだとしても、話をしたのが親友の子だけだったんだから、なんで自分の彼氏が知ってるの? ってなるでしょ」 「そうなると彼氏の仲間内で、どこまでその話が筒抜けになっているかって疑心暗鬼にもなるわよね」
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