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「おやすみメールってあるじゃん?」
俺の部屋のベッドに寝そべりながら携帯をいじっているそいつが不意に声を上げる。そんな中、勉強机に備え付けのキャスター椅子の背もたれにしなだれかかっている俺の注目はある一点に注がれていた。
「パンツ見えるぞ?」
「今日は白だよ。」
「隠せって言ってんだよ。」
部活終わりに俺の家に寄ったそいつは制服姿で無防備に寝そべっている。本来ならドキドキするシチュエーションなのだろうけど、言わずもがなそんな感情は一切湧いてこない。
一般的に見ればこいつは整った顔立ちをしている。事実彼女はこれまでに告白された男子が10人を超える猛者だ。
だというのに、そういう邪な感情が沸かないのは男としてどうかと思う。幼馴染という関係性がもたらす悲しい性というべきなのかもしれない。
「で?なんだって?」
「おやすみメール。」
「ああ、あの付き合いたての恋人たちがよくやってるクソしょうもねえやつな。」
俺がふんと鼻を鳴らすと、彼女は結構な勢いをつけて上半身を起こした。
が、口調はさして先ほどののんべんだらりとした様子と変わらないまま言葉を続ける。
「そ。そのクソしょうもないことで真剣に悩んでる子があたしの友達でいるのよ。」
俺は首を傾げる。
「悩む?」
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