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「そうそう。それでその子もそろそろおやすみメールやめたいらしいんだけど、なんとなく自分からやめるのって気まずい感じがするんだって。でも、だからと言ってあっちからやめられるのも嫌だって言うのよ。で、何かいい方法ないかなって相談されてるんだけど。」
「とりあえずさっさと別れたらいいと思う。」
「うん、あたしも同感。」
「同感なのかよ。」
さすがは幼馴染。伊達に15年間多くの時間を共にしていない。男女という性別の壁はありながらも、俺とこいつは大抵において意見が重なる。だからこそ気の置けない相手であるのだが。
「でも、相談受けちゃったしさ。あんた、そういうの詳しいんじゃないの?ほら、あのギャルゲー?だっけ。よくやってるじゃない。」
しかし、こういうところだけはあまり気が合わない。というか、似ていない。
基本的には俺と同じで適当な彼女だが、こういう義理堅いところがあったりもするのだ。
「そういう現実味に溢れたしちめんどくさい話は管轄外だ。それよかお前の方が絶対詳しいだろ?よくクラスでもギャルどもと楽しそうに会話してるじゃん。」
「そのギャルから相談受けてるのよ。」
「ああね。」
ギャルでも他人に恋愛相談とかするんだなと半ば感心しながら、そのギャルから恋愛相談を受ける我が幼馴染が、自分とは別の世界の住人であることを再確認した気がした。
こうして二人でいるときは、本当に気の合う奴ではあるのだが、学校の中の人間関係という点でのヒエラルキーは確実にこいつの方が高い位置にあると言える。それだけに学校ではいくら幼馴染といえどベタベタといつも一緒にいるということはしていない。
それはどちらから言い出したわけではない、二人の間の暗黙のルールなのだ。
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