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「私と金の交渉することなく仕事を受けたのは」
制服を身に付けたまま、脚を開き椅子に腰掛ける伊織の股に埋まる男の姿に、大介の心は嫉妬で蝕まれていく
契約に縛られる大介を嘲笑うためか
「私を捨て、新しいパトロンを募集するためか」
細い顎を上向けた伊織の、喘ぎが漏れ聞こえそうなほど生々しい表情に欲望が刺激され、思わず股間に手を忍ばせ、扱かずにいられなかった大介は、官能的な表情を伊織にさせた男が憎らしい
「いいえ、千秋の学費を自分で、稼ぎたかっただけです」
否定の言葉を発した伊織に、大介の眉が寄る
「私に頼るより、赤堀に抱かれる姿を売るほうがマシということか」
皮肉と嫉妬の籠もる侮蔑を耳元で囁く大介に「・・・・・・・・・」伊織の声は届いていない
細く白いうなじに顎髭を擦り付け、ほのかに香る伊織の甘い匂いが、つい先刻、嗅いだばかりのタバコだと気付いた
赤堀ーーーーーッ
契約に縛られた大介に対して赤堀は、伊織の衣食住のすべてに口を出し、手も出し、伊織を独占している
冷たくクールな眼差しそのものの、冷徹な実業家は態度では表さなくても、理事長である大介を重要視していないに違いない
ーーー子息を通わせる学園に、ぜひ彼を教育者として呼んで欲しい
保護者に渇望された赤堀と違い、妻が実権を握る帝王学園高等部で、理事長の座に治まる大介は決まった懸案の、ハンコを押す係りのようなものと教職員に陰口を囁かれていることを大介は知っている
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