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知ってはいても、能力のない自分に出来ることはないと卑屈な気分で、雛壇に据えられるだけの職員会議に出席する大介に向けてくる赤堀の目は、時折、凍りつくほどの冷たさを宿す
それでも、有能なあの男は
教師陣が採決した議案に口を挟めないまま、理事長である大介に届けられていることを生徒たちに悟らせない
悟らせない気遣いをあの男にされることこそが、大介を卑屈にさせ、偶像と現実の狭間に追い詰めていく
「当然か、赤堀と私では比べるまでもない。そう思っているのだな、お前も」
憎しみの滲む声に小さく身を震わせた伊織の、薄い背を撫でた大介の手で、ベルトを外された学生ズボンは
ソファベッドに折り曲げた伊織の右膝で止まった
気に入らない、双丘を隠すパンツは同じメーカーのものばかり、他のを伊織が着用しないのは
「このブリーフも、赤堀の好みなのだろう」
嫉妬に目が眩む大介の伊織の股間を掴んだ手に、ぐっと力が籠もる
「うっ、 ちが・・・・・・っ」
短い悲鳴を上げはしても、伊織は大介に抵抗しない
金で買った者と、買われた者でしかない大介と伊織の関係を見せ付けられたことで
手の中に伊織を収めても、否定の言葉を聞いても、落ちないシミのように大介の胸に巣くっていた虚無感が、全身へと広がり大介を覆い尽くした
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