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「…魔物を操る男…。何とも不気味ですね」
椅子に腰掛けてファーレイさんは腕を組みながら呟く。あの後ファーレイさんの家へ案内して貰い、俺達の事情を話し…今に至る。口振り的に一応は俺達の話を信じて貰えているみたいだ
「確信を持って一応訊くが、ここはエルフの暮らしている里で間違い無いな?」
「…はい。外界と一切の関わりを断っていたのですが…我等の里を尋ねられたのは幾年振りでしょうか」
「ごめんなさい……魔法を解いたのは貴女達の事を脅かそうという意図は無くて、カーズ達が何かしていたのかと思ったから…」
「大丈夫、分かっています。ただ此処へは長居しないでいて貰えると助かります。今日は此処に泊まって頂いて構いませんが、明日には発って頂けると」
「何故そこまで頑なに外との交流を拒むのか訊いても?」
唯の言葉に一瞬ファーレイさんの目付きが鋭くなる。今…唯の事を睨んだのか…?
しかしファーレイさんはすぐに小さく頭を振り、自分の事を律するように息を吐く……何だったんだ今の…
「…申し訳ありません。貴女の事を悪く思うつもりは無かったのですが」
「…いや、私の方の配慮が足りなかった。不躾に訊いてしまってすまない」
「…そこの…暁と言いましたね。我等の容姿を見てどう感じましたか」
「…いや、どうって……」
「思ったままを言って頂いて構いません」
「皆美人で綺麗だなぁっでぇっ!!!?」
思ったまま言っていいって言われたから言ったのに!!!何で鳩尾に肘鉄かますんだオルガは!!!?
堪らず蹲る俺をゴミを見るような目で蔑んでくる…全くもって理不尽過ぎる…!!
「見境無いのかお前は」
「…ジェーノ、貴方はどう思いましたか」
「え、これ暗に僕もオルガの肘鉄食らえって言われてるの?」
「思ったままを言って頂いて構いません」
「……………綺麗な人ばっかりだなっでぇっ!!?」
オルガでは無く、リオが代わりにジェーノの鳩尾に肘鉄かました。俺と同じように蹲ってぴくぴくしてる…何この天丼コント?俺達何でこんなに身体張って理不尽に蔑みの視線貰わないといけないの?
「ジェーノのバカ。バカジェーノ」
「今貴方方が思われていたように我等エルフの容姿は優れている者が多いです。優れている…ではなく、同族他種族問わずに目を惹きやすいと言った方が正しいですね」
「何だ、自慢をしているのか?」
「…自慢であればどれだけ良かったか…その為に我等の同胞が連れ去られる事が何度もありました。魔法に長けていてもその魔法を封じさえしてしまえばどうとでもなると思われていたのでしょう」
視線を落として合わせていた手をきつく震わせている……そんな事があったのか…だから自分達の身を守る為にこうして外からの関わりを断つ事を選んだ…いや、選ぶしかなかったのか…
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