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リオが泣くのにつられて獣人やルーザの人達ももらい泣きしている人も見受けられた。普段が普段なだけにリオが泣くとつられてしまうのもわかる。リオが励ませば元気を貰える、リオが笑えばこっちも笑顔になる、リオが泣けば…今のように泣いてしまう
悲しくて泣いてるんじゃなくて嬉しくて泣いているから俺はもらい泣きまではしないで済んでいるけど…悲しくて泣いていたら一緒に泣いてしまうんだろうな
「おら、いい加減泣き止め。いつまでも出発出来ねぇだろ」
「わがっでるよっ…!でも…ッ…!どまってぐれないんだもんっ…!!」
「……お前等このまま出発してくれ。こいつが泣き止むの待ってたら日が暮れちまう」
やれやれといったように小さく首を振りながら俺達へそう言って来る。リオもそうした方がいいと判断したのか目元を拭いながら歩いて行く…少し気が引けるけど、リオが良いならそうしよう
「リオー!応援してるぞ!」
「リオちゃーん!頑張ってねー!」
「リッ…リオォッ…!!うっ…うぅぐっぅ!!い、行かないでくれぇぇえっ!!!」
大きな声援と泣き声が背中を押してくれる。リオだけでなく俺達の事を鼓舞してくれる声も沢山あるが、リオの事を応援してくれている声が多く聴こえている。それに拍車を掛けられたのか、またリオは声を上げて泣いてしまった
それだけ獣人達にも、ルーザの皆にも愛されてたって事だ。そんなリオを泣かせないように、怪我させないように、迷惑を掛けたと思わせないように俺達も頑張らないとな
「…行ったか」
「随分優しいのね。頭を撫でてあげるなんて」
零也達の姿が見えなくなるまで見送るとライオネルはふっと息を吐く。その隣にいたオリオンは笑っていた
「俺は褒めたり励ましたりすんのは得意じゃねぇからな。ああした方が手っ取り早いんだよ」
「オルガちゃんの一撃をわざと食らったのもその為かしら?」
「………さて、何の事だかな」
「不器用な人ね」
「何とでも言え。ただな、褒めるに値しねぇなら食らうつもりは毛頭無かった…それだけは言っとく。絡繰の試運転場は引き続き使わせて貰うぜ。此処に来てから他の連中随分と身体を鈍らせたようでな、徹底的に扱いてやる」
「…獣人の皆が泣いていたのはそれも少し含まれてそうね……」
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