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「んーと……こっち!こっちから匂いがする!」
俺達一行はリオに案内されながら死の谷を進んで行く。凄いなぁ獣人の嗅覚って…カーズが此処で血吸を振るったのがいつなのかは分からないけど、その残り香って言えば良いのか?それを辿って行けるなんてな
俺達じゃどっちつかずでうろうろ迷っていたかもしれない。オルガが化け物を斃したお陰で谷に蔓延してた瘴気が無くなっているのがせめてもの救いくらいで
カーズは唯が体調を崩す少し前の方から谷の奥へ進むのではなく、谷を駆け上がり登って行ったようだ。所々に剣を刺した痕のようなものがある
いや…これ登れるか?あいつ何でこんな回りくどいやり方で…ああ、瘴気があったから仕方無くこうしたのか
「…登れるかな…これ」
「私は何とかなりそうだが、唯とジェーノはかなり辛いのではないか?」
「だよな……リオは変化したら大丈夫かな?」
「…ん?お前登れる気でいるのか?私の中では既にお前と別れるつもりだったぞ」
「何でそうなんだよ!?」
くっそ…!オルガの奴俺の事見くびりやがって!!要はカーズがやったように剣を刺しながら駆け上がってけばいいんだろ?
幸いこの大剣なら岩壁が硬くて刺さらないなんて事は無さそうだし、後はスキルを上手く使ってけば…!
足に力を入れて飛び上がり最高点で大剣を岩壁に突き刺すーーー…よし、上手く行った!後は同じ要領で…
あれ、抜けない?あ、ヤバい大剣強く刺しすぎた!抜けない!?
「ぬ、ぐぐぐっ…!!抜けたっ!」
……うん、抜けたのは良いけど落ちてるねこれ。足を岩壁に付きながら勢い良く抜いたもんだから巻き返せないクソみたいな態勢だし、大剣の重さも相俟ってすっごい速さで落下してる
どごん!という重々しい音を響かせながら下にいる皆と早々に再会した。スキルが無かったら骨折確定の羞恥を晒しながら
…オルガが顔を覗き込んで来た。凄い生温かい目をしてらっしゃる
「楽しいな?遊んでいるのだろう?」
「見ないで!!止めて!!」
「ふふっ!零也す、すまなっ…あはははっ!」
「ごめん零也…!今のはちょっと…ッ…!」
「あはははははっ!!零也格好悪すぎだよ〜!!!」
…もう好きに笑ってくれ。寧ろ笑ってくれた方が救われるよ畜生…
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