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雑念煩悩を振り切った俺は見事唯と共に皆の元へと登り切る事が出来た。まずは全員が登り切れた事に安堵、問題はカーズが何処へ行ったかだ
「匂いは…こっちから続いてる」
「…降りんのか?」
「え……?あ!お、降りるよ!ありがとう零也!助かったよ!」
ばたばたと慌ただしく俺の背中から降りてしまった。オルガが降りないのか訊くまで何か考えていたのか全く降りる様子無かったからな
俺は別にあのままでも良かったけどね!魔物が出るまでは!
「……オルガ、ええと…前に零也におぶられた事があるだろう?ほら、船から降りて気分を悪くしていた時に…」
「ああ……。思い出したくないがな…あの時の気分は最悪だったぞ。ぐるぐると景色が回って揺れて見えていた」
「あ…すまない。覚えていたらでいいんだが、零也におぶられた時…何か感じたりしなかったかい?」
「……何か…とはどういう事だ?」
「…………男らしさ……のような……?」
「……………………いや、特にそういったものは感じなかったが。というかそんなものを感じられるような余裕など無かった」
「…そう…だよね。すまない、変な事を訊いてしまって」
「……まあ、言いたい事は分かるぞ。零也の身体つきが変わっていると言いたいのだろう」
「!知っていたのかい?」
……何かオルガと唯が話してる。内容までしっかり聴こえてないけど所々で俺の名前が出てるから何か俺の事を話してるのか?
え?悪口じゃないよな?本人近くにいるのに下手したら普通に聴こえてしまう距離で言ったりしないよな?
ヤバい、凄く気になるけどもし悪口だったら立ち直れないから訊くに訊けない。この二人から悪口言われてたら……いや、オルガはそんな事しないで直接言うだろうし唯もその人がいない、聴こえない所で陰口叩くような人じゃないわ
「この一ヶ月でかなり変わったと思うぞ。全体的に締まって筋張ったというか…ライオネルの稽古の他にいつもの日課も熟していたしな」
「そう言われると…確かに…腕や肩周りも随分と……」
「……改めて見ると見栄えする身体つ…いや、私は何を言っているんだ…」
…ん?何かリオがこっちを見てくるんだが…何だ?俺の腕見て…次は何処見てんだ?肩辺り?を見ている
「んーと…唯、オルガ…ごめんね。オレ鼻だけじゃなくて耳も良いから二人の会話…どうしても聴こえちゃうんだ」
『!!!!』
「確かに零也筋肉付「言わなくていい!何でもないから!」
「筋肉?」
「忘れろ!今聴いた事!!ジェーノも!!いいな!!?」
「え…ええ?僕何も聴いてないんだけど…」
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