エルフの隠れ里

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そしてそれからリオを先頭にして暫く道なり…というか谷の歩ける所を進んで行き、その日のうちに谷を越える事が出来た。カーズは谷を超えて何処に向かってるって言うんだ? 「………あれ……此処で消えてる…?」 リオが立ち止まり、左右を見ながら鼻を利かせているが…首を傾げてしまった。今俺達がいるのは谷を超えて直ぐの所だけど…辺りは見晴らしの良い高原だ。もしかして匂いが分散してしまったのか? 「カーズのあの剣…血吸って言うんだっけ?その匂いが此処で無くなっちゃってる…この場所までは微かでも残ってたのに」 「…恐らくだが、イザベラ辺りが此処で奴を転移させたのだろう。それならば此処で匂いが消えているのも説明がつく」 「皆、少し待ってて。調べてみる」 「調べるって……どうやって?」 「オリオンから色々魔法について教えて貰ってさ、魔法を使った痕跡を浮き出させる方法とかも教えて貰ったんだ」 凄いな…まるで魔法版の鑑識みたいだ ジェーノが手を翳して詠唱を唱えると、徐々に黒い渦が浮かび上がってくるのが目で確認出来た。道化の男も転移魔法を使えるらしいが…イザベラかその道化かは分からないが、ここでカーズと落ち合って転移魔法を使ったと見て間違い無さそうだ 「…やはりか。しかし困った事になったぞ…これでは奴の後を追う事が出来ん」 「…待って。転移魔法の他に……多分少し先に魔法を使った痕跡がある」 そう言ってジェーノは高原の方を歩いて行く。ジェーノの翳す掌から俺達を導くように淡く細かい光が先へと続いている…あれについて行けばいいのか? ジェーノの言う通り少し歩いて行くとその光は何も無い所で消えてしまった。不発…?俺達の前には相変わらずただひたすらに見晴らしの良い高原しか無いけど…魔法を使った形跡なんか全然見えないぞ? 「…視覚を誤認させる魔法と……遮蔽の魔法…複合した魔法が使われてる。今僕達が見えてるのはまやかしみたいだ」 「…えっと……魔法で高原に見させてるって事?」 「そうみたいだね。えっと…幻影魔法を解くのは……」 その場に手を翳して詠唱を唱えていく。俺達がライオネルに稽古付けてもらっている間、ジェーノも凄く成長してたんだな…こういった姿を見ると改めてそう思う …暫くその場で待っていると高原が高原でなくなった。うにゃうにゃ景色が歪んだかと思うと目の前に全く違うものが映っている…これは…街…?いや、村……里か?  
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