エルフの隠れ里

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しん…と部屋の中が静まり返ってしまう。誰も言葉を紡げずにいる…それもそうだ、軽々しく同調なんか出来ない。仲間が連れ去られるなんて自分の身を削られるよりも遥かに痛いし、連れ去られた人がどんな目に遭っているのか…想像したくもない 「…それで、貴様等はその同胞達を連れ戻そうとは思わなかったのか」 「おいオルガ!」 「連れ去られたのがいつなのかは知らんが、そいつ等は今も貴様等が助けに来てくれると信じているのではないか?耐え難い絶望を与え続けられても尚、貴様等が助けに来てくれると信じて僅かな光に縋り付いていると思うぞ」 「そんな事は我も分かっている!!だが万一でも失敗したらどうする!?我一人ならばどうなっても構わない!だが我がいなくなれば里に掛けている魔法はいずれ解ける!!そうなればこの里は外へ明るみになる…!そうなったら皆は…ッ!」 …ファーレイさんの言う事は尤もだ。その人達を助ける為に、多数を犠牲にするかもしれない…それを決断しろというのは酷だろう いや、ファーレイさんは決断したんだ。多数の犠牲を払うよりも少数を犠牲にして、多数を護る事を選択した ……それでも、納得出来る筈無いよな。 「ファーレイさん、連れ去られたエルフの人達は何処へ集められているのか分かりますか」 「……此処から東南へずっと進んだ所にある市場…そこで人身売買が行われているそうです。恐らく連れ去られた皆はそこへ……その市場は裏では奴隷市場と…そう呼ばれています。そこで売買された者の殆どはそこから更に南にある〝ガレイヴ〟という街の権力者が買っていると…そう聴いています」 人身売買に奴隷市場…そんなふざけた事も行われてるってのかよこの世界は…!! ……駄目だ、我慢出来ない。そんな腐った市場、二度と再開出来ないくらい徹底的にぶっ壊してやらないと…!! 「…お前達、カーズを追うのは一先ず止めだ」 「賛成。現状これ以上あいつを追う手掛かり無いし、今の話聴いて黙ってらんないよな」 「ファーレイ、貴女の代わりに私達が連れ去られた皆を連れて帰ろう」 「許せないよね…そんなの。絶対に連れ戻してみせるよ」 「その奴隷市場ぶっ壊しちゃおう!そこでまずそこにいる皆を解放してそのままガレイヴに突撃!悪い事してるんだもん、自業自得だよね!」 珍しくリオが黒い笑いしてる。まあ概ね同意だけども ファーレイさんは呆気に取られたように呆けてしまっている。今の俺達の会話を信じられないかのように 「……何を…言っているのですか…?貴方方は何も関係無い…なのに何故…」 「ここにいる皆お人好しの極みみたいな人達だからさ!ついこの前だってオレ達獣人の為に奮闘してくれてたんだよ!」 「私はお人好しなどでは無い。ただ今の話を聴いて心底苛ついたから潰しに行くだけだ。そのついでに捕らわれていたエルフがいれば連れて帰るだけで」 「オルガって素直じゃないよねぇ。少し素直になってみたらいいのに、零也にも」 「何故そこで零也の名前が出てくるのだっ!!!?」 「そうだそうだー!俺に対して少しは素直になれオルガー!」 「よし、素直になってやる。腹を出せ」 「前もやったぞこのくだり!!?」  
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