序章 記憶喪失

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 「さあて、ここを左に行くとギルド総合役所だぜ」  商店街を出て直ぐ先の交差点から左を見ると、石で作られた大きく立派な建造物が見えたので、そこがギルド総合役所なのだと確信した。  「ベイル、ひとつ聞いても良いかい?」  「ん?質問コーナーなら喜んでお答えするぜ」  聞く前に、まず最初にギルドと言うのは簡潔に言うと半分ボランティアに似たシステムの仕事である。  細かく話すなら住民の助けをする職業であり、迷惑な魔物の退治をしたり住民の困り事を可能な範囲で手伝ったり。  報酬の額もまた変わってくるのだが住民に対する支援は大半がボランティア。  魔物退治には騎士長から寄せられる高額報酬の依頼も存在して、それ故に魔物退治で荒稼している人間同士で獲物を取り合ったりする事もある。  「僕を最初にギルドへ案内するのは、ベイルがギルドで活動したりするから?」  「まあ察してくれてる通り、オレはギルドで活動してるな」  やっぱりか、そりゃ傭兵を辞めて職を手放した後で経験を生かす場所と言えば騎士とか警察官とかギルドになるからな。  「警察とかにはならなかったの?騎士とかもあったと思うけど」  「騎士は礼儀にうるさくて堅苦しいだろ?そう言うのは性には合わないんだよ。  まあ警察に至ってはアルティマ国内では設立さらされていないが、設立されてもやらないと思うがな」  アルティマ王国って警察が無いのか、と言っても国によっては騎士と警察どちらかが存在するのが一般的だ。  でも自分は警察と言う組織をイメージすると心地良い何かを感じたりしていて残念にも思う。  「それとは比べてギルドは自由度が高いから、どっちかって言うとその方がやりやすいんだよなぁ」  「なるほどね」  騎士と警察、そしてギルドの関係性は...  騎士は国の為に異国と戦ったり、国内の反乱を抑制するための組織。  王国に分類されるアルティマ王国は基本的には騎士となる。  警察は国で設けた規則や命令を違反する者を取り締まる。  つまり国の治安や秩序を守る組織。  民主主義の国、王に絶対主導権のない国が基本的に警察となる。  ギルドは住民の困り事、迷惑とされている魔獣、国から来る直接的な命令を解決に向けて遂行する。  ボランティアの様でもあるが、非常にコミュニケーションや戦闘技術が求められる場面もある組織。
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