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そんな君もそうだけど、僕も...一体誰なんだ...?
そして僕と紅竜、僕達の関係は...?
「一つだけの命を大切に、僕の分まで幸せに生きていて欲しいから...大好きだよ....ずっと....いつ..までも....永..遠....に....」
その声は僕の意識が薄れていただけか、それとも自分が見ている紅竜が幻でそれが薄れていたのかは分からない。
それでも、大切な何かを握っている気がする。
そして、大切な何かを忘れている気がする。
今自分が紅竜へと伸ばしている右手を下ろすと、何もかもを失う気がした。
そう考えると、僕の瞳から涙がこぼれてきた。
「行かないでくれ...頼む、僕の前から消えないでくれっ!」
何を言っているんだろう、自分自身でも分かっていながらも自分のから言葉で紅竜に歩み寄る。
しかし紅竜に言葉が届いていないのか、更に紅竜は姿を薄めていく。
「クロノォオオオオ!!!」
闇雲に僕は何度もそれを叫んだ。
とても辛い、怖い、寂しい、悲しい...
そんな感情が、紅竜の姿が薄れていく度にいっそう強くなっていく。
しかし紅竜に自分の言葉は通じず、間もなく姿が消えてしまう。
その時、紅竜の顔が自分の顔に近付いて来る。
そして.....
「ありがと....大好きだよ...」
「僕もだ!僕も───────」
言葉を言い切る前に、紅竜の姿は無くなっていた。
消え去った紅竜に対し、僕は泣き崩れた。
そして次第に、他の記憶を失い、果てには今現在、泣いている理由すらも分からなくなっていた。
このまま、自分はどうなってしまうのだろう。
さっきまで心地良かったのに、今は凄く悲しくて寂しい。
そして、回りには誰も居ない。
そんな風に休む事無く長時間泣き崩れ続けたら自分は、その場で眠ってしまっていた。
次第に僕は記憶を失くしてしまっていた。
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