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赤毛の男は納得した表情と呆れ返った表情が織り成すなんもとも変な表情。
「とりあえず、話はこの森を抜けてからにするか。
此処等一体は魔獣の生息区域だから危険だ」
魔獣か....此所で寝てて魔獣に見付からなかったのなら、結構不思議な事だな。
「立てるか?」
「....よし。なんとか...」
立った時に若干足がふらついたが立てなくもない、そんな感じがこの赤毛の男″ベイル″にも伝わってしまったのだろう。
「少し心配だが、無理はするな?」
「すまないね...」
「なんて事ねえ、借りを返してるだけだっての」
なんだろう.....
最初はただの馴れ馴れしく笑顔で不気味だったけど、森に出るまでは信じるしかないか。
でも、ちょっとずつだけど...
実はいい人なんじゃないか説が、自分の中で出来上がってきていた。
そして...
二人で森を出る為、ベイルが歩いて来たと言う道を辿って歩き始めるのだった。
その間、僕達は話をしながら歩く。
「記憶喪失ってヤツじゃないか?やっぱりそれ以外なら分かんねぇよな」
「ですよねぇ...」
やはり記憶喪失ってやつなのだろうか、自分の名前、経歴、此所に至るまでの記憶が先程目覚めたあの場所以前の経緯に覚えが無い。
忘れた事は辛い出来事だった気がする。
だから尚更そんな記憶が気になって仕方がない。
どんな経緯だったのだろう...
「ベイル、聞いても良いかい?」
「あいよ?何が聞きたい?」
「僕の世話になったと聞いたから、良かったらその時の話を聞かせてくれないかい?」
「はいよ...」
少なくともベイルは何かしら自分の事を知っている...
どんな繋りなのか...それは自分としても知っておきたい。
「ハイト、お前はさんとの出会いは約一年前だ。
丁度オレはその当時、傭兵をやってたんだが...」
良い感じの明るい雰囲気が、一変して切ない表情に変わる。
それを見て自分も、良い話では無さそうなのだと感じた。
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