序章 記憶喪失

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 「それで、三つ目は?」  「それは、何かしらの目的を感じた事だよ。  その敵を追い掛けるだけの何かを理由として僕が背負ってた、ただその目的に関してはヒントが無いけどね」  こんなちっぽけな答えしか見出せず自分の中では現在、途方にくれかけているところだ。  「なあに徐々に思い出して行けば良いさ、何か過去と繋がるものやキッカケにさえ出会えれば上手く思い出せるかも知れないが、そう言うのは無理せずに自分のペースと本能で探して思い出すもんさ。  そうすれば少しは気が楽で良いんじゃねえか?」  「だと、良いんだけどね...」  それからベイルとの会話は徐々に減っていき、沈黙になるも歩き続け、そして森の道なき道を歩き続けた。  「ほら、あそこまで行けば森から抜けれる。  森とは晴れておさらばってワケだ」  ベイルの指差す先には草原と街か何かに繋がっていそうな砂で何も加工されていない道が見えていた。  気付けばすぐそこまで歩いていた。  「この先には何があるんだろう...」  「旅人みたいな台詞を言うな、どちらかと言うとそれはオレにこそ相応しい台詞な」  平原に出て街まで行けばどうなるだろう、このままベイルはどうするんだろう...  まだ殆どが分からない自分には少々不安が積もる。  そして、森を抜けて更に歩き続けると、とても大き壁と門が遠くにあるが分かる。  巨獣の進撃でもあるのかと思える程に高いバリゲードと巨獣が中へ入る為かと思える様な広い門だ。  「とても、大きい都市?だね」  「まあ、ぶっちゃけ此処はアルティマ王国の中心部、名の通りアルティマ王都さ。  そんな都市が小さいと、話になんねえんじゃねえかきっと」  そうか、此処はアルティマ王国のか...  全く分からない...  「良く分からないって顔してるなー?」  「どうして分かったのかな?  でもこんなに大きくて立派な壁をどうして...」  やはり戦争か何かから守る為か?  ただ侵入者を捕らえる為か?  「やっぱ見栄えじゃね?」  「適当な国だね此処はっ!」  ..........  「ベイル、此処までありがとう」  「ん?ハイト、突然どうしたんだよ?」  「流石にこれ以上は迷惑かなって...」  此処まで助けてくれたんだ、これ以上迷惑掛けたくない、自分自身そう感じてしまっていた。
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