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この空間、この同じ場所に吉矢がいると思うだけで。
「隣良い?」
いきなり隣に男が座ってきた。
有無もなしに。
男を見ると恐くなった。
金髪で、刺青やってて、黒くて、傷があった。
とにかく怖かった。
男は携帯をカチカチと打っていた。
なれない手付きで、でも一生懸命で。
どことなく可愛かった。
『俺今ベンチにいるから来たら?』
受信したそのメールを見て携帯を落とした。
ベンチはここにしかない。
男は吉矢だった。
一気に血の気がひいた。
想像してた吉矢とはまったく違って…。
イヤ、そんな事よりもこんな出会いがあるとは思わなかったから。
携帯を落としても拾わない私を不思議に思ったのか吉矢が拾ってくれた。
「落としたよ?」
何も答えられなかった。
吉矢は一度携帯の画面を見てたたみ、渡してきた。
「落ちたぞ…」
携帯を受けとると、吉矢は言葉を付け加えた。
「…歩」
吉矢を見ると、笑ってた。
「…吉…矢?」
これが吉矢とメル友じゃなく、リア友になった日、出来事だ
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