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博雅が式相手に常識的なことを考える。
自分より少し年下にしか見えないその青年に、
なんとなく戸惑った。
青年はすいと立ち上がると、
こちらへ、
というように小首をかしげて博雅をいざなった。
後ろを歩くと式の裾からほろりほろりと金の花が零れる。
……漂う香りは金木犀。
「博雅」
式に案内されてきた釣殿で晴明が出迎える。
「空が晴れ渡っている……いい月夜になるぞ」
「そう思って笛を持ってきた」
それはなにより、
と言う晴明に博雅がにこりと笑い返す。
晴明の屋敷の庭から見る月が博雅は好きだった。
他のどこで見るよりもその光が冴えわたって感じられる。
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